新刊紹介『流れ星☆ぼくらの願いがかなうとき』
2014.10.30 06:41|ラウンジ|
![]() | 流れ星☆ぼくらの願いがかなうとき (おはなしガーデン45) (2014/09/08) 岩崎書店 白矢 三恵 うしろだなぎさ 商品詳細を見る |
主人公は小学4年の「ぼく」。
少年野球チームの残り一席のレギュラーをねらっています。
でも野球を始めて2年間、コーチからはほめられたことがありません。
「才能がないんだよな。きっと」
それでもライバルに勝って、4日後にせまった試合には出たいという欲があります。
(どうか、レギュラーに選ばれますように)
夜空を流れる星に願いをかけました。ここまでは、「ん? なんだかよく聞く話だなあ」と思われるかもしれません。
ところが、その星は、「流れ星にしてはおそすぎる」星でした。
そして(だから)、「ぼく」の願いに呼ばれ、人間の男の子のようなすがたをして、「ぼく」の前にあらわれたのでした。
流れ星が、「ぼく」の願いをかなえてくれるというのですが、どうやら、その流れ星にも強力なライバルがいるらしくて――
というのが導入(一章)です。
私の読み間違えでなければ、一章の終わりまで主人公「(中田)ゆう」の名前もなかなか出てきません。
それも計算だったら、すごいなあと思います。
この後、流れ星にはげまされて、ゆうは、レギュラーをつかみとろうと一応は努力をするのだけど、もともと、星に願うくらいだから、メンタルも不安定で落ち着かないわけです。
もうひとつ見過ごせないのが、この主人公の「思い込む」ところです。
野球を始めてたったの2年で(子供にとっては、2年は長いものですが……)自ら「才能がない」と思い込んでいます。コーチやライバルの目も冷たいと決めつけています。
なんだかんだ、マイナス要因を抱えて、どうこの状況が好転にひっくり返るのか、というのがストーリーの最大の持ち味だと私は思いました。あと、スポーツを扱っているのに、最後まで試合らしい試合がなかったのも新鮮で、好感度が高まりました。
この物語の面白さ、きっと子供たちにも伝わると思います!
(白矢さん、なるべく早いうちに、次作にチャレンジしてくださいね。なるべく、ねーー。)
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福島正実記念SF童話賞とは……
福島正実記念SF童話賞は、1983年、児童向けのSFエンターテインメント作品を書ける新人作家の発掘を目的として、少年文芸作家クラブ(創作集団プロミネンスの前身)と岩崎書店が、SF童話の懸賞募集として設立したものです。
日本のSF界育成に多大な貢献をし、児童向けSFの翻訳家・作家としても活躍しながら1976年に47歳で早世した元早川書房SFマガジン編集長福島正実氏の名を冠したのは、少年文芸作家クラブを結成し子ども向けSFエンターテインメントの隆盛を願った福島氏の思いを継承してのものでした。
――岩崎書店さんのホームページより引用させていただきました。
http://www.iwasakishoten.co.jp/bosyu/sf/about/
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※ 大塚は、第13回大賞の古株で、白矢さんとはシンメトリーな関係です

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